作家生活オンライン > 自称空想作家の妄想
久方ぶりでございます。

ひと月に一回のブログ更新は如何なものかと思いますが、
個人的近況にて、日々の細事に煩わされ、今に至ります。


この新年を迎えてからの1か月間。

そろそろ死ぬのか? 
と思わんばかりに、旧知の友人知人恩人等と席を交える事が最近多々あり、
その都度、懐かしい会話に花を咲かせた。

そんなある日、今の創作活動の基本根幹となる関係者、
高校時代の後輩であり、数年前まで一緒に物語を紡いで遊んでいた奴と呑む機会があった。

奴は自分とセンス的にも合い、お互いに自由人であった頃には
しょっちゅう顔を突き合わせ、創作SF物語談議に明け暮れていた。
お互いに金は無かったが、たまにバイトや個人創作で手にする薄給で
安飯を食みながら、夢物語の世界へトリップしていた。

今現在…、正確にはつい少し前まで自分の創作意欲を振るい紡いでいた物語も
基本プランニングはそいつで、自分は助言的立場であった作品だ。

ある時から、自分は夢から距離を置き、昼仕事に精を出し、
奴と顔を合わせる事も減ってきた。
その創作の語らいが俺の日常に忙殺され、徐々に連絡を取ることも少なくなり、
終いにはこちらからメールやLINEを入れても返事が返ってこなくなった。

月日は流れ、自分自身、創作活動への憧憬が募り、こんな事を始めてから
改めて、彼とは話をしたい! しなければならない!

そう考え、頻繁に打診を行い、やっとのことで彼との再会の席を設ける事となった。

最後に会話をしてから4年の月日が流れていた。

お互いに近況を話す。

俺は、昼間の給料仕事の愚痴を交えつつ、昨今の創作意欲の盛り上りを語り、
昔に、二人で話していた創作作品を、現状、俺なりに練り直し、
小説の形でリビルドしている旨を語った。

彼は、最近、体調を壊し、バイトも控えつつ、
一族の依頼を受け、その家系図の再編作業をしているとのこと。
そんな中、自身でも創作活動を続け、
最近は、お互いの共通の知人である、高校時代の先輩と会い話しながら、
自分の作品を紡いでいるとのこと。。。

当の、二人でプランを出し合った作品について、
彼も改めて紡ぎ直している。とのことだった。

元々は、彼の企画だし、彼がやる気を出し、頑張っているならば、
それはそれで、これ幸い!と、
自分も改めて、彼の物語世界を手伝わせてもらおうと思った。

それが叶うならば、自分で紡いだ同企画の物語は、
……確かにそれなりに愛着はあるが、手離しても良い。とまで考えていた。


しかし、彼は、
その物語の話の根幹は全く話そうとしなかった。
改めて、お互いが話していた部分に対し、確認し情報のすり合わせをするのみだった。

彼は、どんなに長く話しても、
彼の抱えている物語の本質そのものを、自分に語り明かしてくれることはなく
その日は別れた。

彼の語る物語は、
企画骨子やテーマや登場人物は昔通りだが、物語そのものは全く違っていた。

その後の俺の知らないエピソードや、登場人物の後日談。
語れる部分を耳にすると、よりSF色は強くなっているものの、
物語の展開や世界状況は支離滅裂で、纏まりがないものに思えた。。。

恐らく、俺の後に彼と話している先輩が、
かなりヘビーなSFマニアで、その人の色味が出ているようにも感じられた。

彼は新たなパートナーを得て、彼自身の物語を補填していた。

その物語の根幹を話さないということは、
俺はもう、彼には必要のない人間になっていたのだ。。。


元々は彼の企画であったが、俺もかなりその物語には相当な助言を挟んではいた。
俺の中にも物語や登場人物への愛着や情も芽生えていた。

だからこそ、彼とコンタクトが減っていく際に、やる気の無くなっていた彼に
物語の動向を聞いたことが昔あった。

「これからこの話どうするの?」

「倫道先輩にあげますよ。。。」

そんな言葉も耳にしていたので、改めて個人的にリビルドもした。

恐らく、彼に言わせれば、先に裏切ったのは俺の方だろう。
俺は我儘にも、自分の生活の為に、彼とのコミュニティを捨て(そう思わせて)
身勝手にも、彼の前から姿を消したのだろう。
彼の気持ちも痛いほど分かる。

なので俺は、自分が紡いだ同企画執筆分を、
静かに土に葬ることにした。

同じ話は二つも要らない。
この物語の本当に父親は彼だ。
ならば俺の育てた彼の息子は、静かに墓に収めよう。

そう決めてからもう半月程経つが、
最近は以前ほどの創作意欲も無くなり、ボーッと過ごすことも多い。
気が抜けてしまったのだ。

自分で紡いだ物語を自ら葬ってしまった事よりも。
心のどこかで、『一人ではない』という気持ちがあった。
奴とまた昔のように集まっては、新たな物語を紡ぎだす事ができるのだろう。
そう漠然と考えていた。

それがもう叶わない。
本当にこれから独りでやって行かなければならない。
そうハッキリと理解できてしまったことに空しさを感じているのかも知れない。

過去。
自分が楽しかったコミュニティがもうどこにも存在しない事実に、
思いの外、ショックを受けているのだと思う。

しかし、創作者は元来独りで生きていくものなので、
コミュニティにすがり、甘えるのは違うと思う。

彼も、その事実に、俺よりも早く気付いたからこそ、四年前のある日に、
俺との馴れ合いコミュニティを捨てて、独りで歩き始めていたのかも知れない。


だから俺も歩こう。
独りの道を。

一人歩きのお互いが、改めて落合い、美味い飯を食いながら、
お互いの話を語り合う日を夢見て、もう一度歩いてみようと思った
今日この頃だ。
19.02.06 17:54 コメント(0)

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